
心の防御制御というメカニズムによって心が守られていますが、これが長期間働き続けると、心に過度なストレスがかかり、それが原因で様々な心の病に陥ることがあります。
これがペットロスの怖いところです。「ペットを喪失→共感者がおらず自信低下→抑うつ状態→長期間続く→自尊心の低下→鬱」というプロセスを辿ってしまう方が、1割ほどいると言われています。
私たちが一生のうちに一度以上鬱病にかかる確率は10%程度とされ、鬱病自体は比較的ポピュラーな病気ととらえられています。鬱病のことを「心の風邪」などともいわれていますが、実際に鬱病にかかるということは、そんなに生易しい事ではありません。
風邪なら美味しいものを食べて温かくしておけば数日で治ります。でも、鬱病は意欲そのものが低下する病気ですから、気合や栄養の補給、心身の休養だけですぐ治るような性質ではありません。また、薬を常用した場合には、心身に別の影響を及ぼす心配だって出てきます。
さらに、鬱病の一番怖いところは「死」に結びつくこともあるというところです。現在、自殺者の7割は鬱病患者だといわれています。ペットロス体験が死に直結しているケースがいくつあるかはもちろんわかりませんが、ペットロス時に「私は鬱病にはならない」と誰が言い切れるでしょう。
まして、ほとんどの方が、ペットロスから鬱病になるという認識さえありません。
そういった意味で、ペットロスはとても過小評価され、また、誤解されてきたテーマなのです。それらを未然に防ぐペットロス予防の考え方がとても重要になります。